自衛官になりたい人へ~なぜか自衛官候補生試験を受けることになった件~

どうも。NNT(Nai-NaiTei:無い内定)のドジ猫です。

この記事では、これから自衛官を目指そうと考えている人、特に自衛官候補生の試験を受けようとしているあなたのために私の受験レポートを公開します。参考になりましたら幸いです。
そうでない人もNNTの現状をぜひご笑覧ください。



以下、大量の注釈を先に付けておきます。これはサンプル1の情報ですので、すべての自衛官候補生試験に当てはまるわけではないですので、「ここに書いてあることと違うじゃん!」みたいなクレームは寄越さないでください。

※これは愛知県地方協力本部が実施した試験のレポートです。これ以外の地域では異なる運用がなされていることがあります。
※これは自衛官候補生試験のレポートです。幹部自衛官候補生や一般曹候補生の試験には当てはまりません。
※このレポートは2023年11月下旬から12月上旬にかけて行われた試験のレポートです。これ以外の採用では状況が異なる場合があります。

0. 要約

<一次試験>
・自宅から受けるIBT試験
・PC+Webカメラがオススメ
<二次試験>
・出かける前に歯磨き必須
・待ち時間が長いので暇潰しできるものを用意しよう
・(当たり前ですが)忘れ物には十分注意すること
・リラックスして面接に
<受験まで>
・自衛隊に興味があれば地本を頼ろう

1. 自衛官候補生の試験を受けたきっかけ

試験の内容だけ知りたい人は飛ばしてください。
きっかけは自衛隊の人に半ば強引に薦められたからです。
私は就活をするのが面倒くさくて後回しにし続けてきました。その結果、卒業間近の今現在、いまだに4月からの身の振り方が決まっていません。

そこで、名古屋市伏見にあるハローワークに行ったわけです。(ハロワについてもいずれ記事を書ければいいなと思いますが、多分書かない気がします。ごめんなさい。)その帰りに道端で地本(地方協力本部の略)の広報官に声を掛けられたのがきっかけです。

地方協力本部、通称「地本」は、自衛官の採用や退職した自衛官の支援を行うための窓口です。各都道府県にあり全部で50の組織があります(50なのは北海道に4つあるから)。
詳しくは防衛省のページを見てもらえればよいです(防衛省自衛隊「“チホン”ってどんなところ?」https://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/contact/chihon/about.html)。

そんな感じで、地本の広報官の方に声を掛けていただいて、「とりあえず話を聞くだけでいいから!」「基地の見学をさせてあげるよ」という口車に乗っかって「じゃあ話だけなら…」ということで自衛隊の説明を聞くために某日自衛隊広報ルームに足を運びました。ここまで来るとサギの手口みたいですね。おっと失礼……。

そしてなんやかんやとそそのかされ、内定ひとつもない不安に押し負け、まずは任期制の自衛官候補生の試験を受けることになりました。ちなみに、公務員の採用試験ですので、「受けるだけならタダ」です。

2. 自衛官の採用

2‐1. 自衛官の種別

これを見てくださっている方はもしかすると受験する腹づもりの方かもしれないので、適宜飛ばしてください。
詳しいことは募集要項・パンフレットを見てください(防衛省自衛隊「採用パンフレット・募集要項」https://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/details/pamphlet/index.html)。ここでは、簡単に説明します。

自衛官の採用にはいくつかあります。
まず、最も有名なのは「幹部自衛官候補生」ですかね。いわゆる自衛官の中でもエリート中のエリートを育成する人たちです。大卒・院卒の賢い人が受験する種目ですね。
ふたつめが、「一般曹候補生」。これが定年まで勤め上げる人で、たたき上げな感じの人たちです。曹になるのがメインな人たちです。
そして、みっつめが今回私が受験した「自衛官候補生」です。これは任期制の種目で、陸自なら2年、海・空自は3年の任期がついたものになります。一般曹よりもスタートが遅れますが、就職浪人をごまかしたい人ニートをごまかしたい人にはおすすめのところといった感じでしょうか。嫌でも任期が来たら辞められますから。
その他、航空学生とか技術海曹・空曹とか特殊なやつがいっぱいありますが、ここでは割愛します。多分当てはまるのはレア。

2‐2. 自衛官候補生のよさ

自衛官候補生の魅力は、①任期制であること、②給料・退職金が出ること、です。
①はさきほど説明した通りなので割愛します。
②は、自衛隊の有名な話ですが、彼らは勉強をし訓練をしているのと同時にそれが仕事でもあります。訓練を受けるだけで金がもらえます。そして、自衛官候補生は、給料のほかに最初の教育訓練が終わった後に一時金22万円、任期の終わりに「特例退職手当」(つまり退職金)が、陸なら2年で58万円、海・空なら3年で95万円もらえます。

一方で、よく対比される一般曹は定年まで働くのが前提なため、すぐに辞めたら退職金ナシまたは安いわけです。ただし、スタートの階級が高いので長期的にメリットがあるといったところです。

ですから、もし自衛官候補生か一般曹候補生で迷われたらメリットデメリット、自分が自衛隊でどのくらい働くつもりでいるのかよく考えて選ばれると良いと思います。

3. 二次試験(口述・身体検査)のはなし

みなさんが気になるのはここのことだと思います。「いったいどんな検査をするんだ!?」「面接ってどんな感じなの?」といった疑問を持たれていると思います。余すことなく書かせていただきます。

3‐1. 試験会場の雰囲気

陸上自衛隊守山駐屯地の正面入口の画像
陸上自衛隊守山駐屯地の正面入口。ここで二次試験を受けました。帰りに気づきましたが、門の上にシャチホコがいますね。名古屋らしさが出ています。

朝、7時半から8時15分までが受付時間でしたので、私は8時前くらいに会場である守山駐屯地に向かいました。門のところで私の担当広報官が待っていまして、「頑張れよ」と声をかけてもらいました。
案内に沿って進んでいくと受付があり、受験票と事前に記入した問診票・面接シートの確認が行われました。私は受験票と顔写真の照合だけで入れたのですが、身分証の確認を求められている人がいました。受験票を忘れたのかもしれません。受験票は忘れず持っていきましょう。あと、ボールペンも忘れずに持っていきましょう。現地で記入する書類があります。

自衛官候補生は18歳から受けられます。つまり、高校卒業と同時に自衛官になりたい人が門戸を叩くわけです。
今回、私含め28名が試験会場にいましたが、見た感じ7割くらい学ランや高校の制服を着た男子高生・女子高生でした。また、28名のうち5名が女性といった構成でした。
私と同い年、なんなら私と誕生日が1日違いの人もいて親近感を覚えました。話せる雰囲気ではなかったので心の中でね。

3‐2. 終わらない待ち時間

自衛官候補生を受けられる方は絶対覚えておいてほしいですしみなさんにお伝えしておきたいのですが、自衛官候補生の二次試験はとにかく待ち時間が長い!長すぎる!

私は8時頃から待機していましたが、解散になったのは13時すぎです。面接時間約10分、身体検査は約1時間かけて行います(このうち大半は待ち時間)。これ以外はとにかく「待ち」です。

最初に通された待合室では、「飲食は自由、スマホを使っていてもいいですよ。リラックスしていてください」と案内されます。スマホ使っていても全然OKです。私は、事前のリサーチで「待ち時間が長い」という情報を仕入れていましたので、小説を持っていきました。
ただ、飲食は自由といえど歯科検査があるので、実際には飲み物はセーフですが、食べ物はアウトです。あと、出かける前に歯磨きを忘れずにしていきましょう。

守山駐屯地には自動販売機があるのですが、ここのラインナップはめちゃ安です。基本的には90円が並びます。高くても110円しかしません。今となっては市中の自販機は500mlですら200円届きそうな勢いですから、時間が止まったかのようですね。

営内の自販機は概ねお値段が安いようですが、それを当て込んで行って自販機使えなかったら意味がないので、あらかじめ飲み物は準備しておく方が良いかもしれませんね。

3‐3. 口述試験(面接)

面接は事前に記入し提出した「面接シート」の内容を元に質問されます。このフォーマットは各地本によって異なるようでしたので、内容については割愛します。

面接はひとり10分程度の簡単なものです。ひとりずつ面接会場に呼ばれてスタッフから事前に注意事項が説明されます。
具体的には面接時の入退室の方法です。みなさんね、入退室の方法教えてくれるんですよ!親切すぎて涙が出ました。扉は3回ノック、「失礼します」をどこで言う、椅子に座る前に受験番号と名前を読み上げる、これ全部説明してくれます。とっても安心して面接に臨めますね!

ということで、いざ面接。私に相対するのは2人。左が面接班長と呼ばれる偉い人。それと右にもう一人。基本的には右の人から質問が飛んできます。質問をした人の方を向いて答えることを意識しましょう。

で、どんな質問をされたかですが、私が記憶しているものでは以下の通りです。

  •  自衛隊を志願した理由
  •  なぜ陸・海・空に入りたいのか(私は空を志願しましたので、なぜ空に入りたいのか答えました)
  •  希望の職種と勤務地
  •  希望通りにいかない場合最も譲れないもの
  •  スポーツ経験
  •  なぜその学校に行ったのか
  •  親の賛成・反対
  •  身体の異常はないか

これだけのことを質問されました。正直私の経歴とか面白みがないのであんまり質問するようなことなかったのかなとか思いました。

ネットでは「めっちゃいやらしい聞き方される」とか「根掘り葉掘り聞かれる」みたいな話が載っていました。これは事実かも知れませんが、少なくとも私の担当面接官はそんな感じではありませんでした。他にも、「そのやりたいことって自衛隊じゃなくてもできるよね?」みたいな意地悪質問とか、「関心のあるニュース」とかは聞かれませんでした。そもそも面接時間が短すぎてそんなことを聞く余裕はないのだと思います。本当に入りたいと思っているのか、親類の同意が得られているかみたいなスクリーニング程度の面接だったように思います。

 私が「スポーツ経験が無い」と答えた時にアドバイスをいただいて、「入隊するまでに走り込みやトレーニングをして体力をつけておいたほうがいいよ」ということを言われました。結局一番走るのが遅い、運動できないと目立ってしまうし余裕がなくなってしまうということだったかと思います。

面接官の方が認めていましたが、「空は一番体力が求められない」は本当みたいです。自衛隊に入りたいけど体力に自信がなく躊躇っている人は空自を志願することをオススメします。
面接はそんなところです。あと、制服なので気圧される部分はありますが、終始温和な感じで、リラックスして聞かれたことに答えていけばいいかと思います。

3‐4. 身体検査

面接が終わってから、幾分かの時間を待って身体検査に入りました。
身体検査は営内の医務室で行われるのでマイクロバスで移動しました。
事前に、Tシャツと短パンを用意するようアナウンスがあったので持っていきました。何度か上を脱いだり下着だけになった時もありました。

身体検査はかなり多種にわたります。身長、体重、視力、聴力、歯科、尿検査、胸部X線、関節運動、問診だったかと思います。すべてを網羅できているか記憶が定かではありませんが、とにかくたくさんやりました。身体検査では、自衛隊に入隊するために基準というのがあり、それを満たさない場合、条件付き合格、不合格の場合があり、条件付き合格の場合は入隊後検査で基準を満たせなければ採用取り消しになります。試験に落ちた理由の中で身体検査で基準未達が原因というケースが多いようです。基準については、自衛官募集のホームページや募集要項にあります。
正直、私は色々基準を満たしているか怪しいです。身長・体重のバランスとか視力とか……。

3‐5. 小括

そんな感じで、二次試験を受けてきました。これは今日の話です。家に帰って文章を書いています。
これから自衛官候補生試験を受ける人にお伝えすることとしては、

  1. 待ち時間が長すぎるので暇潰しアイテム(最悪スマホでいい)を用意しておきましょう
  2. 身体検査で落ちないように用意をしておきましょう
  3. 面接はリラックスして、聞かれたことに答えられるようにしておきましょう

この辺だと思います。

3. 一次試験(筆記試験)のはなし

コロナ禍で自衛官募集の試験形態は変わりました。特に自衛官候補生の試験では、スマホやPCで自宅から受験できるようになりました。より受験しやすい形になっています。

以前の試験では対面で行っていたため、筆記から口述・身体検査までを1日で行っていたようです。拘束時間が長すぎて受験者数が伸び悩む原因にもなっていました。しかし、今の試験はこのような感じですので、気軽に受けられると思います。

注意点としてはPCを使って受験する場合にはWebカメラ必須です。スマホだと少々やりにくいかもしれませんね。

出題の内容はホームページを見てもらえれば良いですが、選択問題+記述です。(防衛省自衛隊「過去の採用試験問題」https://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/examination/kakomon/index.html
国語・社会系科目は全問選択、数学は選択と計算して適切な数字を入力、作文がありますので、それは入力していく形になります。特に作文ではそれなりに入力が要求されますので、スマホよりはPCのほうが良い気がします。参考までに。

また、作文は一応対策しておいた方が良いと思います。私は無対策で望みましたので、結構焦って適当書いてしまいました。この辺は過去問を予習しておくだけでも対応出来そうです。

4. 地本を活用すべき

地本はいいぞ。
とりあえず自衛隊に興味があれば地本。入隊までのサポートも地本です。
自衛隊に興味があれば近くの広報ルームでいつでも話が聞けますし、直接連絡すればもしかすると自宅までお話に来てくださるかもしれません。

私は以前自衛隊のイベントに参加してアンケートを書いたら、後日家まで自衛隊の広報官がやってきました。彼らは「ガチ」な集団です。自衛官採用のためならなんだってしてきそうな感じの圧があります(笑)

それは半分くらい冗談ではありますが、自衛隊に志願しますと、あなた担当の広報官(現役の自衛官ですよ!)が就いて、色々サポートをしてくれます。自衛官募集の資料をくれたり過去問を印刷してくれたり、私は使ったことはありませんが面接の練習もやってくれるらしいです。

本気で自衛官を目指したい、そこまででなくとも自衛隊に少し興味がある人は地本に連絡してみると良いでしょう。そこまでの勇気がない人は自衛隊広報ルームに訪れるところから始めると良いと思います。

5. まとめ

話が長くなってしまいましたが、以上が私が自衛官候補生の試験を受けた体験レポートと諸々のお話でした。試験について書かれているネットの情報との異同について触れました。これから自衛官になろうとする人、そうでない人ともに少しでも参考になればと思います。知りたいことがあれば気軽にご連絡ください。

採用されるといいですけど……どうだろうなぁ。

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